『若恋』榊の恋【完】
―――よろしく頼みます。
反対に頭を下げられてすぐにお父さんに頭を上げてもらう。
「娘を頼みます。ただ、」
「わかってます。ひかるちゃんはまだ若いですし16歳になるまで待ちます」
「そうですかよかった…」
胸を撫で下ろしたのは親心だ。
「ひかる、こっちにおいで」
静かに笑ってひかるちゃんを呼んだ。
「ひかるを向こうへ連れていくと言ったが、やっぱりこっちに残りなさい」
「…お父さん」
「榊さんのところで世話になるのなら安心だし、…りおがいるから寂しくもないだろう?」
「…いいの?だってわたしが行きたくないって言っても連れていくって」
「それはひとりでおまえを置いていくわけにはいかなかったからだよ。榊さんがおまえの面倒を見てくれるって言うなら話しは別だろう?」
なあ、榊さん。
ひかるちゃんは泣きそうだ。
にっこり笑って見せると、両手を開いて胸に抱きついた。