『若恋』榊の恋【完】



「わたし、榊さんのずっとそばにいていいの?」

「ええ、もちろんです」

「わたし子供だけど、子供じゃないよ?」

「それは16歳になってからの話にしましょう。今はひかるちゃんが傍にいて笑ってくれてればそれで十分です」



胸の中で見上げる瞳には涙が光っている。

付き合うと言う条件の中に絶対に泣かないこととあったが、ひかるちゃんの涙は特別だ。

必死で今までも我慢させた涙をもう受け止めることができる。


「ひかるちゃん、泣いてもいいんですよ」


もう馬鹿げた条件はなしだ。

我慢しないでいつでも自分だけの前で泣いてほしい。

怖い目にあった涙だったり、いろんなことで苦しんで堪えた涙だったけれど、これからはひとりでもう泣かせたりしない。


「わたしだけの前で泣いてください。誰の前でもなくわたしの前で」




< 130 / 440 >

この作品をシェア

pagetop