『若恋』榊の恋【完】
「わたし、榊さんのずっとそばにいていいの?」
「ええ、もちろんです」
「わたし子供だけど、子供じゃないよ?」
「それは16歳になってからの話にしましょう。今はひかるちゃんが傍にいて笑ってくれてればそれで十分です」
胸の中で見上げる瞳には涙が光っている。
付き合うと言う条件の中に絶対に泣かないこととあったが、ひかるちゃんの涙は特別だ。
必死で今までも我慢させた涙をもう受け止めることができる。
「ひかるちゃん、泣いてもいいんですよ」
もう馬鹿げた条件はなしだ。
我慢しないでいつでも自分だけの前で泣いてほしい。
怖い目にあった涙だったり、いろんなことで苦しんで堪えた涙だったけれど、これからはひとりでもう泣かせたりしない。
「わたしだけの前で泣いてください。誰の前でもなくわたしの前で」