『若恋』榊の恋【完】
頭を撫でる。艶やかな黒髪を撫でつけ一筋掬い取りくちづける。
「泣いてもいいんですよ」
「榊さん…」
大粒の涙が見上げた瞳からボロボロと溢れ落ちる。
指先で掬いくちづける。
「わたしの傍にいてくれますか?…ずっと」
これからずっと。
小さな細い体に腕を回し抱き締める。
やっと。
やっと、手に入れた。
もう離さない。
「ずっと…傍にいてくれますか?」
「………」
腕の中からは返事はない。
「ひかるちゃんが16歳になったら…結婚しましょう」