『若恋』榊の恋【完】
もう、ふたりの姿を見ても心は痛まない。
「大神様、榊様、出来上がりましたので」
こちらへどうぞ。
呼ばれて、店長のそばに行くと、桐の箱に納められた花の形の婚約指輪と、ピンクダイヤを埋め込んだペアリングを確認した。
「ひかる喜ぶね」
りおさんは破顔して若を見上げ、「ああ、そうだな」りおさんの髪を指ですくっていた。
そんなふたりの姿は将来の自分なんだろうか。
自然に笑えた。
―――ありがとう