『若恋』榊の恋【完】




「榊さん!」

学校へ迎えに行くといつもひかるちゃんは頬をピンクに染めて駆け寄ってくる。

はじめはりおさんに似てると、身代わりとして側に置いて、気がつけば、いつの間にか一番大事なひとになっていた。



「今日はこのままドライブに行きましょう。連れていきたい場所があるんです」

ひかるちゃんを助手席に乗せハンドルを切る。

「榊さんと一緒ならどこだって行くよ」

ニコニコしながらひかるちゃんは運転する自分を見つめている。



「どこに行くの?」

「内緒です」

「教えてくれてもいいのに。榊さんたら」

くちびるを尖らせてちょっと拗ねたりする仕草も無条件で可愛い。

ひかるちゃんを知れば知るほどにいとおしいと思う気持ちが強くなる。

抱き締めたい気持ちが強くなる。



「着きましたよ」


車を停めると、ひかるちゃんが周りをキョロキョロと見回した。




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