『若恋』榊の恋【完】
可愛く笑うひかるちゃんの首にはペンダントの鎖がかかっている。
先月、結婚の約束として贈った指輪が鎖に通してある。
「わたしは榊さんのものだから」
無邪気に見えていたはずのひかるちゃんは日に日に大人びていく。
子供でもないかといって大人でとない微妙さを危うくしている。
ドキッとするくらいに女になってきていると感じることもある。
「わたしは榊さんが好きだから」
胸に下げていたペンダントを取り出して見せた。
ちょうどあと一年でふたりは結婚できる。
手を伸ばしてひかるちゃんのペンダントを手に取り、知らず知らずに近づいたひかるちゃんを抱き締めた。
「さか、きさん?」
「少し…このままで」
「榊さん…」
優しく抱き締めたらひかるちゃんのお日さまの匂いがした。