『若恋』榊の恋【完】
「わたし以外の誰も見ないでください」
その綺麗な瞳に他の男が映るのは許せない。
その柔らかなくちびるが憧れてると言うのも許せない。
自分の目の届かない学校で、若佐だけじゃなく、同年代の男とどうやって過ごしているのか気になりだすとひかるちゃんを抱き締める腕に力が入った。
「榊さん、い、痛い」
「………」
いっそこのまま腕の中に閉じ込めて逃がさないようにしてしまいたい。
自分のものにしてしまえばこの気持ちから抜け出すことができるのか…
「榊さん、痛い」
「………」
腕の中にいる柔らかさが身を捩った。
そっと頬を胸につける。
「榊さんが好き」
呟くように言って目を伏せたひかるちゃんに、指通りのいい髪を撫でつけ、その額にそっとくちづけた。
「榊さんが好き」
「わたしもひかるちゃんが好きです」