『若恋』榊の恋【完】
ひかるちゃんが好きです。
歳が離れているとか関係なしに。
「他の誰も見ないでください」
その瞳に自分以外の男を映さないでほしい。
そして誰もひかるちゃんを見ないでほしい。
夏の黄色い花のように明るく真っ直ぐな彼女を見つめないでほしい。
「約束してくれますか?誰にも指一本触れさせないと」
「…うん」
額にくちづけるとひかるちゃんはきれいに笑った。
「榊、さん、もしかしてヤキモチ?」
「ええ、ひかるちゃんが担任の先生を気に入ってるので」
ヤキモチ?と素直に聞かれたらそうだった。
「―――だから」
特別補習なんて受けさせたくない。
若佐と名乗った担任との接点を減らしたい。
「だから、ひかるちゃん。今夜から勉強しますよ」
教えられる勉強ならみんな教える。
数学だって英語だって。