『若恋』榊の恋【完】
「ひかるちゃん、お祭りに行きますよ」
講習のため学校へ行ったひかるちゃんは車に乗るなり目を丸くした。
「お祭り?」
「りおさんがひかるちゃんに浴衣を着せてあげてねと言ってましたよ」
「…浴衣?」
「この夏、勉強頑張ってるご褒美です。それを着て行きましょう」
「ご褒美?」
助手席でだんだんひかるちゃんが頬を緩めて口角が上がっていく。
「お祭りに連れてってくれるの?」
「ええ、浴衣着て行きましょう」
「本当?うれしい!」
夏制服のまま可愛く笑うひかるちゃんはお祭りに連れて行ってもらえると知って大喜びだ。
家に着くと制服を掛けて、すぐにシャワーを浴びに行った。
「まだ、時間はありますよ」
「だって。榊さんとお祭り行くのが楽しみなんだもの」
風呂上がり後ろ髪から透明な滴が落ちてくる。
「滴が落ちてきて、ああ。ほら濡れてしまいますよ」