『若恋』榊の恋【完】
お祭りの山車が並び。
屋台。金魚すくいにスーパーボールすくい。
輪投げに射的。
クレープ屋台に焼きとうもろこし。
千本引きにお面を売っているところ。
焼き鳥屋に、おでん屋。
かき氷屋台に…
そして、会場の奥にはお化け屋敷が建っている。
「あの、写真撮らせてもらっていいですか?」
「は?」
ひかるちゃんを人混みの男連中から守り、少し横道に入ったところで年頃の女に声を掛けられた。
きゅっ
ひかるちゃんの手を握っていたが、僅かに力が入ってひかるちゃんの表情が曇った。
「悪いのですがカメラはちょっと。それに彼女もいますので」
ひかるちゃんだけしか見えない。
他の女には興味ない。
声を掛けてきた女を追い返すようにして、俯いてしまったひかるちゃんの顎を持って上向かせた。
「他人が見てる…」
「見せつけてやりますよ。ひかるちゃんを狙ってあちこちから見てる」