『若恋』榊の恋【完】
ちょっとしたイタズラだが喉を鳴らして飲み込んだひかるちゃんは目をうるうるさせた。
「…甘い」
「後は、お酒の味は二十歳過ぎてから、ですね」
「日本酒って辛いかと思ってたの」
「辛いのはどちらかと言えば苦手です」
笑うとひかるちゃんの頬が少し赤くなった。
「榊さんかわいい」
「これが普通ですよ」
「ううん。なんかいい」
ひかるちゃんが壁のない表情で笑う。
「食事をいただきましょうか」
「うん」
向かい同士に座り食事に舌鼓を打つ。
普段は日本酒を追加するが今日はそんな気持ちにはなれなかった。
ひかるちゃんに告げなければならない大事なことがある。
食事を終えると、ふたりで露天風呂に入りにいくことにした。
「すごい…露天風呂広い」
遅くに宿に来たおかげで露天風呂には誰もおらず、女湯に入ってるひかるちゃんの声が響いていた。