『若恋』榊の恋【完】
後ろからそっと抱き締めればその手をひかるちゃんが包み込んだ。
「…ひかるちゃん、こっちを向いて」
「…うん」
身を捩ってひかるちゃんが腕の中で振り向いた。
横抱きになるような態勢に心臓が騒ぐ。
ひかるちゃんの襟から白い喉元が見えた。
「わたしはひかるちゃんが好きです」
「…はい」
「今夜、わたしのものになってくれますか」
「…はい」
穏やかだけど、しっかりとした答えが返ってきた。
ランプだけの灯りの中でひかるちゃんの潤んだ瞳を確かめる。
自然に重なる気持ちを待ちたいと思ってた。
その時が今夜だ。
―――今夜
ふたりはひとつになる。