『若恋』榊の恋【完】
「愛してます」
穏やかに腕の中で眠りについたひかるにそっと呟いた。
愛して、奪って。
愛するひかるを手に入れた。
「愛してます、ひかる」
「ん、うん…」
寝惚け眼を擦りひかるが目を開けて、微笑んでまた閉じた。
「可愛いですよ、ひかる」
額にかかる髪の毛を払い、その細い肩に浴衣を掛け直す。
薄暗闇に白く浮かび出るひかるの華奢な体。
「もう離しません」
夜が更けても眠るのが勿体無くてひかるの表情ばかりを見つめてた。
すうすう。
「ん、うん」
寝返りを打ちひかるが穏やかに微笑んでいる。
きっと幸せな夢をみてるんだろう。
「……榊さん」
自分の名が呼ばれた。