『若恋』榊の恋【完】
うぐいすの朝
うぐいすの宿の朝。
夏の夜が明けるのは早い。
一晩中ひかるを離さずに、今も腕の中に大事に閉じ込めている。
すうすう
安心しきった寝顔を見てるのはこれでよかったんだと再確認できるから。
「…ん、…」
寝返りをうつひかるの瞼が揺れた。
うっすらと開いた瞳と視線がぶつかると、ふわっと花が咲いたように笑みを浮かべた。
キュッ
心臓が音を立てた。
―――はじめての夜。
二度、抱いた。
初めは貫いて痛い思いをさせたが、二度目は痛いばかりの思いをさせたんじゃないと確信している。
「ひかる」
初めてをもらった夜の幸せな想いが、胸に、全身に感覚として残っている。
抱き締めて想いを結んだ。
これ以上ない幸せな気持ちをひかるがくれた。
「まだ早いから眠りましょう」