『若恋』榊の恋【完】
艶やかな髪の毛をひとすじ掬いくちづける。
とうとう。
ひかるをこの手に抱いた。
目の前のシーツにひかるの破瓜の血の跡が散っている。
「…ひかる、ありがとう」
穏やかで幸せな朝を迎えることができたのは、ひかるがいてくれたからだ。
「うん」
コクンと頷いて恥ずかしそうに俯いた。
力を入れて抱き締める。
もう離したりしない。
もう他の男にひかるを護らせたりしない。
命の危険があった過去の出来事を思い出す。
あの時は、他の男に護られてていてもそれでも仕方がないと思っていた。
そう自分に言い聞かせていた。
馬鹿だったなと思う。
「これからはわたしが」
ひかるを。
―――護ります。