『若恋』榊の恋【完】
一也の告白
うぐいすの宿から戻ってくると、りおさんが玄関でにっこり笑って出迎えてくれた。
浴衣の袂を引きこっそりと耳打ちをする。
「ひかるを抱いたでしょ?」
事実だ。
「はい」
隠すつもりもない。
「ふふ、よかった」
りおさんが嬉しそうに笑った。
「昨夜、」
「うん、聞かなくてもわかるから」
「?」
「ひかるの歩き方みればね」
下駄を履いてるから歩き辛そうに見えただけだが…
「ほら、表情だって全然違うよ」
確かに浴衣姿は普段は服を着ているのとは違い色っぽい。
りおさんが言う違うとはずれているのかもしれないが。
「でもよかった。ひかるの想いが通じて」
あ。
ニコニコ笑うりおさんが振り向いた先には若が立っていた。
「奏さん」
「若」
「大事にしてやれよ」