『若恋』榊の恋【完】
「榊くん!しっかりしてよっ!」
叫ぶような悲鳴に我に還ると、事故を目撃して寄ってきた人に肩を押さえられていた。
掻き抱いた里桜がぐったりしているのを必死で揺さぶっていた。
「君、動かしたらだめだ!救急車が到着するまで触らない方がいい」
取り押さえるように数人に囲まれる。
徐々に抱いた体から熱が逃げていく。
認めたくない現実に打ちのめされる。
「榊くん…もう…」
言うな。聞きたくない。
認めない認めない認めない認めない認めない認めない
すべてが夢だったと。
誰か。
誰か言ってくれ!