『若恋』榊の恋【完】
暴走車
若が大神物産本社に仁と出掛けている間、りおさんとひかるの買い物に一也と一緒に護衛につくことになった。
龍神会を根絶やしに出来たことで街に出てもそれほど緊張せず周りを見ていられる。
りおさんとひかるがあちこちの店で買い物をして、あっと言う間に両手いっぱいの荷物になった。
「一旦、車に荷物を置きましょうか」
4人で交差点の信号を渡り始めた。
ギギギギギギ
爪で黒板を引っ掻くような不快な音がして、右折してきた暴走車が見えた。
かなりのスピードが出ている。
「ひかる!」
咄嗟にりおさんを庇い、ひかるに叫んだ。
一也がひかると車の間に体を割り入れるように飛び込むのが見えた。
買ったばかりの紙袋が宙を舞う。
ドン!!
辺りいっぱいに響く衝撃音。
耳をつんざく破壊音。
「ひかる!」