『若恋』榊の恋【完】
身を挺してみんなを守ってくれた。
「…一也さんは?…大丈夫よね?」
りおさんが両手を握りしめるて震えている。
「一也は大丈夫ですよ」
ふたりには大丈夫ですと言いながら、心の中では焦り叫んでいた。
―――早く!
救急車を早く!
タオルが掛けられた一也のそばに、震えて土気色になってる男がひとり呆然と立ち尽くす。
もうひとりが取り押さえられ暴れる体を封じ込められている。
ふたりだ。
車に乗っていたのがふたり。