『若恋』榊の恋【完】
ぺたりと座り込み宙を見上げた。
あれが暴走した車の運転手。
暴れてるのはヤバイと思って逃げようとした助手席のヤツか。
「榊さん、あのひとが」
「わかってます」
怒りを必死で抑え込み近付いた。
近付いたのにも気づかず放心したままだ。
ぐいっ
後ろから襟首を掴みつまみ上げた。
「逃げなかっただけよしとしましょう」
放り投げて一也のそばに座った。
遠くで救急車のサイレンの音が聞こえ、すぐに到着した。
「ひかる、りおさんと一緒にタクシーで病院へ」
「うん」
ひかるにりおさんを託す。