『若恋』榊の恋【完】
みんなが沈みこむ中、ひかるが立ち上がった。
「一也さんはきっと大丈夫だよ」
話し出すと重い空気が一変して光が差す。
ギュッと手を握りしめて顔をあげた。
「一也さんはこんなことで死なないから」
「…ひかる」
「だから、わたし。…一也さんにジュース買ってくる。きっと目を覚ますから」
涙をこらえ目にいっぱい溜めてひかるが自販機に向かった。
「榊、ひかるを追え」
「若、」
「行け。ひかるをひとりにするな」
「…はい」
「それでいい」
ニッ
口の端を上げ肩を叩き、
「ひかるを頼む」
仁も背中を押した。