『若恋』榊の恋【完】
もう10年以上も抱えてきた悪夢は終わらせたい。
「…わたしには血の繋がっていない妹がいました」
りおさんの顔は見れない。
「…………」
りおさんが側の椅子に静かに座る気配がした。
「10年以上前にわたしの目の前で車に跳ねられて亡くなりました」
「………」
「りおさんと同じ名前でした」
「………」
「…その後、家族は崩壊しわたしは父の友人であった大神組長に預けられたんです」
「………」
顔をあげられない。
りおさんがどんな目で自分を見ているのか恐怖にも思う。
「わたしは逃げたんですよ。妹を死なせた罪から」
泣き笑いしてるのが自分でもわかる。
自分が情けない。
まだ夢の余韻が残ってて夢を見ているのか現実なのかわからない。