『若恋』榊の恋【完】
「ひかる」
「榊さんのそばにいていい?」
すがるように体を預けてくるひかるを抱き留めて頷いた。
「そばにいてください。いつだってひかるだけが欲しい…」
月の灯りだけの部屋の中でひかるの体を抱きくるむ。
「さ、かきさん」
息をすることもできないほど腕に力を込める。
一也のことを思わないように。
自分のことだけを見てほしくて。
他の誰もひかるとの間に入り込まないように…
「ひかる…」
「んっ、…ふ、」
くちびるを割り深いキスを落とす。
ひかるも応えるように受け入れる。
ひかるの穏やかだった胸の鼓動が急に大きくなり、その振動が重なった部分が熱くなった。
「ひかる」
「…榊さん…だけ」
「ひか、る」
ひかるを抱き抱えたままベットに横になる。
重なった体がさらに熱を増した。