『若恋』榊の恋【完】
「…榊、さん」
「ひかる。俺は…」
ひかるを子供だと言い聞かせそれでも大人だとわかっていた。
りおさんに密かに想いを寄せていたのを知られて「身代わりでいいから」と言われた時に自分の内ではひかるを大人として認識してしまっていたことを今更のように思う。
「欲しい…ひかるが」
全身が叫んでいる。
一也に思い知らされた。
ひかるをどんなに愛しているかと。
「ひかるを抱きたい」
口にすればもう止まらない。
胸のポタンを外し背中に手を入れて脱がす。
月明かりに浮かび出る肢体。
「俺のひかる」
「だめ、…榊さん」
びくっ
背を仰け反らせてひかるの白い体が跳ねた。
「ほしい」
すべてがほしい。
ひかるが今一也の心配を抱えているのを知ってる。それを抱えてるひかるがほしい。
すべてがいとおしい。