『若恋』榊の恋【完】
先生の容赦ない視線でわたしの心が悲鳴を上げた。
この目…どこかで見たことがある。
怯えずにはいられない目。
―――狂ってる!
前にも龍神会に拐われた。
あの時にも自分の命を捨ててでも榊さんに復讐しようとした男がいた。
その男と同じ目をしている。
「先生…まさか死ぬつもり…?」
「このまま生き恥を曝していたくない。榊を殺して俺もな―――」
「何があったの?」
窪んだ瞳で見下ろすミイラのようになってる先生に一体何が…。
「天宮は可愛い生徒だったな」
両手を縛っただけじゃなくわたしの口にも大きなテープを貼りながら言った。
「榊は天宮の為なら死んでくれるだろう」
―――わたしの為に榊さんが死ぬ?