『若恋』榊の恋【完】
封印の太刀
「…ひかるが?」
拓也が病院内を探し回った時にはひかるの姿はなく、カバンだけが一也の病室の前に置かれていたという。
「ひかるがいない?」
若も自分の電話に後部座席で反応している。
「会議はいいからこのまま一也のいる病院まで行くぞ」
「はい」
Uターンし、一也の入院している病院へ飛ばす。
病院へ入ると、待合室前にいた拓也がいきなり土下座をして床に這いつくばった。
「若。榊さん。
すいません!俺がちょっと目を離した隙に!」
慌てる拓也を落ち着かせ、一也の病室の前に置かれていたというひかるのカバンを開けた。
目に入ったのは今朝着ていたひかるのチュニックの切れ端。
「!」
「ひかるが着ていたやつか?」
「………」
若が服の一部を掴みあげた。
その下にはひかるの髪飾りもある。
お気に入りで好んで着けているものだった。
そして真っ白な封筒を見つけた。