『若恋』榊の恋【完】




封印されているもの。


組長から以前渡されたものを左手に持ち屋敷を後にして指定された場所へと向かった。

岩山の麓にある住所が記されていて、そこは昔からの別荘地帯だった。

芸能人の別荘も多い。


ログハウスがあちこちに建っていたが古くからある別荘なので人知れず朽ちているものも多かった。



「この辺り、か」


たぶんここだろうと思われた場所を見上げると、しばらく使われていないようだった。

車を降りて別荘への坂を上る。



「きゃあっ!」

「!!」


突然、悲鳴が上がり、それがひかるの声だと本能でわかった。



「ひかる!」



ドアを蹴破りひかるの姿を探す。


いない。

二階か?


二階への階段を上がりかけ、誰かに引っ張られて突き落とされたひかるの体。



「ひかる!」



二階から突き落とされたひかるを抱き止め一緒に階下に転がった。


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