『若恋』榊の恋【完】
ひかるが若佐の毒牙にかかった?
「嘘!わたしそんなことされたら舌を噛みきるから」
「榊。天宮は俺に抱かれたぞ。嘘だと思うならそのスカートの中を覗いて見ればいい」
「先生の言ったことは嘘よ。わたし何もされてない!」
ひかるは違うよと小さく首を横に振った。
「―――信じて」
か細くなる声。
―――信じて
信じているに決まってる。
若佐は自分を混乱させたいだけだ。
「ひかる、顔をあげて」
瞳に涙を浮かべたひかるにキスをした。
「若佐の言うことに惑わされたりしないから」
「榊さん、…うん」
ひかるは力を抜いて大人しく後ろに庇われた。
「無駄です。ひかるを見ればわかります」
「…先生。あの優しかった先生はもういないの?」
「俺はもう教師じゃない」
「教師を辞めても先生は先生だよ…」