『若恋』榊の恋【完】



「わたしを斬りその後はどうします?」

「…どうもしない」


自嘲し若佐が顔を歪めた。


「…後は死ぬのを待つだけだ。榊も俺も。そして天宮も」


キラリと光る刃が振り下ろされ、

ビッ

変わった音がして肩に火傷した時のような痛みが走った。


「きゃあ、榊さん!」

「来てはダメです!」


肩に構ってはいられない。以前に銃弾を受けて、手当てで治りきったと思ったが思うようには動かなかった。

シャツが少し切れた程度だがすぐに手首まで血が滴った。


「榊さん、血が!」

「構いません」

「ひかる。奥にいてください。危ない」


ひかるがこちらにくる隙間はない。

だったら奥にいて刃が届かないところにいた方がいい。



このままだとみんないずれ死ぬ。


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