『若恋』榊の恋【完】
青龍の護り
パキン
何かが割れ砕けた音。
「天宮、」
「やめて先生」
若佐が振り下ろそうとした劔の先にひかるの腕が!
若佐の劔が途中で折れて床に落ちた。
何が起こったのか?
何が?
「ひかる!」
覆い被さるようにしてひかるに守られている自分。
若佐の劔が何故折れたのかひかるの腕から切れて落ちた水晶の粒がバラバラと零れて知った。
「ひかるの腕が」
「平気。…少し切れただけだから」
ひかるの腕から水晶の欠片が床に落ちてバラバラに散っていく。
ひかるの腕にお守りとして収まっていた青龍を彫った水晶が割れて足元に落ちた。
ポタリ
顔に滴がかかる。
「天宮なぜ」
「…先生、榊さんはわたしの大事なひとなの」
「…天宮、血が」
「ううん。わたしは大丈夫。お姉ちゃんがくれたお守りが守ってくれたから」
「ひかる、手を見せろ!」