『若恋』榊の恋【完】
自分にはない真っ直ぐな強さに惹かれたのかもしれない。
命をかけて飛び込んでくる強さに惹かれたのかもしれない。
「ひかる、愛してます」
「わたしも榊さんが好きだよ」
頬を赤く染めながらひかるが答えた。
目尻まで赤い。
「ひかるかわいいですよ」
腕の中に包み込んだひかるはなにものにもかえられない宝だ。
抱き締めても抱き締めてもまだ抱き締め足りない。
「ずっとそばにいてください」
「うん」
そのままひかるを横抱きに抱えて古いログハウスを出た。
車の助手席に座らせて下から高台に建つログハウスを見上げる。
「いつかきっと会えますよ」
その時は元気な姿で。
死ぬより他はないと思い詰めた若佐をひかるが止めた。
今度ひかるの前に現れる時にはすべてを乗り越えて強く優しくなってるだろう。