『若恋』榊の恋【完】
「シャワー浴びたら、また診せてくれりゃいい」
成田は酷い傷を負ってはいないのを確かめて緊張を解いている。
パタパタ
パタパタ
りおさんがひかると話をした後に目の前に来た。
「榊さん、ひかるを守ってくれてありがとう」
「すいません。ひかるに傷を負わせてしまいました」
「ううん。ひかるを守ってくれたわ。ありがとう」
「りおさん。りおさんから頂いた青龍の御守りが割れて、」
「いいの。ひかるが無事なら。それで」
にこっ。
可愛らしく小首を傾げて見上げてくるりおさんに頭を下げる。
「ひかるの腕の傷くらいなんとも思わないから。顔なら別だけどね」
ぺろりと小さく舌を出してりおさんは笑った。
りおさんも若を守るために傷を負ったことがあるが、折れた腕や曲がったままの指を気にかけた素振りは見せなかった。
「りおさんには敵いませんね」
「何が?」
「姉妹そろってとても強いです」
「ええ?そう?」
「そうですよ」