『若恋』榊の恋【完】
「榊さん、成田さんが深い傷じゃないからシャワー浴びてから処置するって。」
ひかるがいつも通りの明るい笑顔を見せた。
「そうですか。よかった」
改めて胸を撫で下ろす。
隣にいた仁がいきなり目を輝かせた。
「ひかる、これからシャワー浴びるんだろ?」
「うん」
「ひかる。榊と一緒に風呂入ってこいよ」
「!?」
「やだ、仁お兄ちゃんったら」
「マジで話してんだよ。その腕じゃ髪が洗えないだろ?」
ひかるを見ると顔を赤くして耳まで赤い。
「それは…そうだけど」
もじもじして上目遣いに見上げた瞳と視線がぶつかった。
「榊、髪洗ってやれよ」
「それは…」
戸惑ってひかるを見ると大きな瞳が恥ずかしそうに細くなった。
―――ひかるの髪を洗う
「ひかるがそれでいいのなら」