『若恋』榊の恋【完】




「榊さん?」

「しばらく…このままで」



抱き寄せた小さな体から甘い香りが漂いクラクラする。

ポニーテールを結った髪を解きその流れる艶のある髪を左手で櫛けずる。


「ひかる、顔を上げて」

「…いや」

「顔を見せて」

「ダメ、…恥ずかしいから」

頑なに顔をあげようとしないひかるの額にキスを落とした。


「これで我慢しておきましょうか」

「……榊さん?」



見上げたひかるのくちびるを瞬時に捉えて、真っ赤な顔を背けようとするのを許さない。

くちびるを割り深く探りひかるの甘い舌をなぞる。


「んっ、」


トン。

胸を押してきたひかるを逃がさないように抱き締めた。

腕の中にゆでダコのように顔をしたひかるの鼓動が伝わってくる。


「んっ、」

「まだ足りないです」




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