『若恋』榊の恋【完】
「それにひかるを連れていきたいところがあるんです」
「わたしを?どこへ?」
「それは内緒です」
首を傾げるひかるが無条件に可愛くてもっとからかいたくなる。
「榊さんたらもう!教えてくれたっていいじゃない」
ぷぅ。と、頬を膨らます。
ピンク色に染まった頬を軽く突いた。
「それは向こうに行ってからのお楽しみです」
「意地悪なんだから。教えてくれてもいいのに」
拗ね気味のひかるの額にまたキスを落とした。
「楽しみは後に取っておきましょう」
「……榊さんの、いじわる」
「そうですよ。今わかったんですか?」
「………」
顔をプイと背けたのをわざと自分の方に向けさせた。
「そんな、かわいいとこも愛してますよ」
―――愛してますよ
そう告げると、ひかるが目を細めて笑った。
―――明日は函館へ