『若恋』榊の恋【完】



お日様色のドレスが軽やかに翻る。


「いいシーンですね。そのまんまのふたりを撮りましょう」


カメラを構えた髭の老人は斜めから何度もシャッターを押した。



「いいものが撮れましたよ。可愛いお嬢さんありがとう」


ひかると並び撮った写真は館内を見ている間に現像される。



「そのドレス、ひかるにとても似合ってますよ」


明るい色は夏の花のように笑うひかるによく似合っていた。

ドレスに合わせたイヤリングやネックレスが可愛さを引き立てている。


「とても可愛いですね。誰にも見せたくないくらいです」

「やだ、榊さんたら」


はにかんだひかるの頬に指を伸ばす。
薄く化粧したひかるのくちびるにそっとくちびるを重ねると、その柔らかな感触に胸が熱くなった。


「誰にも渡しませんよ」

「……わたしには榊さんだけだから」



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