『若恋』榊の恋【完】
ひかるの顔がみるみるうちに赤く染まっていく。
「榊さん、あの。それってもしかして」
「もしかして?」
「それって、今度ここに来る時には……えーと」
なんて答えていいのかわからなくなったのか、もじもじしている。
「今度来る時にはふたりでなく3人でかも知れませんね」
小さな声で囁くとひかるの瞳が潤んでそして、ゆっくりと閉じた。
「……うん。今度ここに来るときは3人かもしれないね」
―――3人で。
今度、この百万ドルの夜景を見る時は、ひかるの他にももうひとり一緒かもしれない。
そして、それは近い未来に現実となるだろう。
1年先、2年先、もしかしたらもっと未来に。
「3人で見たらもっと幸せになれるね」
「そうですね。きっと」
―――眼下に広がる光の帯がとてもきれいだった。