『若恋』榊の恋【完】


若は幼い頃から護身するための武術など一通りこなしてきている。

自分も若ほどとは言わないが竹刀を振れる。



「お願いします」


頭を下げ、竹刀を付き合わすと、

ガンガン打って出た。



力は若よりもある。


「若、余所見してると胴が割れますよ」


若が中庭に出てきたりおさんに気を取られた。

その一瞬で若がさらに圧される。


「わたしの勝ちですか?りおさんに手を出すかも知れませんよ」


「くっ、、」


ギリと歯を噛み締めてうまく力を流し窮地を凌いだ。


続けざまに打ち込むと若の体勢が崩れた。


「わたしが勝ったら若忘れないでくださいね」

「ちくしょ」

「圧されてますよ、若」



いつもは余裕で受け流すのにさっきのりおさんとのことが響いてるのか、若の動きが鈍い。


「りおさんをいただきます」


最後のひと打ちだと踏み込んで、若の表情が変わったことに気づいた。




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