『若恋』榊の恋【完】



「苦しいよ、榊さん…」



キュッと背中のシャツを握り返す指の熱さが伝わってくる。

抱き締める強さに応えるようにひかるの指にも熱がこもってくる。


覗き込む瞳に熱く潤んだ自分の顔が映る。






「―――すき」









小さくて薄いくちびるから溢れた。




「すき」





これ以上は何も望まない。


この世でひかるだけが「すき」と言ってくれるだけでいい―――









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