『若恋』榊の恋【完】
ひかるを無事に取り戻しホッとしたのも束の間、今度はりおさんに異変が。
若の傍を離れてる今、すぐにでも戻る方法は―――
考えあぐねていると、
「榊さん、あの組長さんたちならなんとかできるかな?」
思いもよらない言葉がひかるの口から飛び出した。
「組長?」
「うん。さっきの組長さんや榊原さんならなんとかなるかな?」
「!?」
シャツを握りしめてくるひかるの指先が小刻みに震えてる。
りおさんに何かあって一番不安なのはひかるなのかもしれない。
「あの組長や榊原さんならどうにかできないかな?」
「確かになんとかなるかもしれませんね」
「でしょう?」
ひかるの思い付いた可能性に懸けたい。
「掛けてみましょう」
さっき、吹田さんが自分の携帯と元太の携帯番号を教えてくれていた。
その番号を躊躇せず押す。