『若恋』榊の恋【完】
車を飛び降りそこに控えていた組長と元太、榊原が腕組みをほどき手を上げた。
「これでいいか?」
ヘリコプターの羽根が回り始めて風を起こす。
ヒュンヒュンと空気を切り裂いて風を巻き上げる。
どこまで飛べるかわからないが任せておける相手だと、促されるままヘリに足を掛けた。
ひかるの手を引き上げ座らせる。
「ありがとうございます。とりあえず、」
「ああ、いつでも連絡寄越しな」
「組長さん、元太さん、ありがとう!」
「ほら、早く行きな」
「ありがとう」
ヘリで途中まで移動し、そこから車で送られた。
何も言わなくてもすごい早さで市内に入ることができた。
「若!」
ひかるの腕を引き、屋敷へ駆け込む。
「仁!成田はどこですか?りおさんに何があったんです?」
「お姉ちゃんになんかあったの?」
息が苦しい。
若に、りおさんに、お腹の御子になにかあったらどうしていいのかわからない。
「成田はどこです?」