『若恋』榊の恋【完】
白い産着を着た目鼻立ちのはっきりした子が写っている。
若に本当にそっくりだ。
「若にそっくりですね」
「うん、可愛い〜!」
「口元はりおさんに似てますね」
「似てる似てる」
小さな命の誕生は無条件に嬉しくて可愛い。
若とりおさんの子なら尚更だ。
「いいなあー、わたしも赤ちゃん欲しい」
ひかるが写メを見ながら何気なく呟いた。
「欲しいですか?」
「うん」
「それなら、今すぐには無理ですけど半年後には」
ひかるが一瞬きょとんとした。
「―――え?」
「冗談ですよ」
笑ったが、冗談でないことはひかるが一番わかってる。
「ううん、いつか榊さんの赤ちゃん欲しいよ」
目を細めてコテンと肩に頭を乗せる。
ひかるの手のひらの中の携帯画像が見える。
若とりおさんの御子の写メ。
―――ひかるとの子供なら
本当は今すぐにでも欲しい。
できるならば今すぐに―――