『若恋』榊の恋【完】
「ひかるが16歳になったら」
「うん」
「春になったら」
「うん」
誰かを本気で愛することはないと思っていたけれど、りおさん、ひかると出会って若以外のひとを守りたいと思えた。
守るべきものの大きさを実感した。
そして、今。
誰にも譲れないものがある。
「いつか―――若とりおさんの御子のように可愛い子を産んでください」
ひかるが小さく微笑んで顔を上げた。
「うん」
「ひかるにそっくりな子を」
「いつか、」
若とりおさんの御子のように可愛い子を―――
「うん、約束ね」
―――ゆびきり