『若恋』榊の恋【完】
「榊が俺の義弟になるとわな」
「……仁、」
「ひかるを頼むぞ」
「はい」
仁が袂から腕を抜き軽く拳を繰り出してきたのを受け止めた。
「榊さん、おめでとうございます」
「毅、」
「ひかるちゃんを泣かせるのならいつだって俺がもらいますよ」
「一也、」
「幸せになってください。俺らが羨むような」
「前広、拓也」
紋付き袴姿の皆に囲まれる今こんなにも幸せだ。
そして最後に玲央ぼっちゃんを抱いたりおさんが目の前に。
玲央坊っちゃんが、腕を広げクリクリした瞳で見上げている。
「榊さん、ひかるを幸せにしてね」
ぎゅっ。
玲央坊っちゃんごと腕を広げてそっと触れた。
「必ず幸せにします」
「うん」
「約束します」
「うん」
りおさんの長い睫毛が濡れていた。
「ひかるを必ず幸せにします」