『若恋』榊の恋【完】





『大好きなお兄ちゃん』


『幸せになってね』






歪んだ視界の中、里桜が笑ったのが見えた。



『わたし、もう行かなくちゃ』



頬に里桜の唇が触れたと思ったら、淡い光の中に包まれて消えた。






―――里桜




悪夢でしか会えなかった里桜が確かに笑っていた。




幸せになってと。

大好きだと。

満面の笑みを浮かべて。

頬にキスをして―――




そして。



消えた。









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