『若恋』榊の恋【完】
ひかるちゃんの携帯の電話になぜ男が出るのかわからない。
「あなたは誰です?」
冷や汗が吹き出した。ひかるちゃんの携帯に掛けても男が出たこともないし、この電話は異常だ。
「その電話の持ち主はどうしました?」
冷静に冷静にと思っていたのについ声が荒くなる。
若も異変に気付き前広に車を車道脇に停めさせた。
「彼女をどうしたんですか?」
電話の向こうは笑ったまま答えようとはしない。
「彼女をどうしたんです?」
苛立って電話を投げつけたくなる。それくらい焦っていた。
「榊さん、落ち着いて」
「待て榊、俺に電話を代われ」
前広と若が自分の肩を叩いたが首を横に振る。
『青い海の公園に来たらいいものを見せてやるぜ。俺らの恨みの深さどんなもんかわからせてやる』
ピピッ