『若恋』榊の恋【完】
夜明け


「成田!」


「また厄介事なんだってな」


「そんな愚痴は後で聞くからひかるちゃんを診てほしい」


成田のとこに飛び込んだらもう診察室は暖められ、シュンシュンとやかんのお湯から蒸気が上がっていた。

寝台の上に横にすると聴診器が当てられた。


「…んー、弱いな」


点滴の用意をして成田がポツリと溢した。

成田が濡れた服を剥ぎ取ろうとして思わずその腕を掴んでしまった。



「遊びじゃねえんだ、榊」


「く、」


止めることなど間違ってるのに成田が手を掛けようとしたのを拒んでしまった。



「わたしが脱がせます」



濡れてへばり着いたシャツや下着を取り除き半裸にした。

体は冷たいままだ。


「ここから先は坊っちゃんも榊も出ててくれないか。気が散る」


「!」


「頼むぞ成田」


「あいよ。坊っちゃん俺はブラックジャックだぜ。任せとけ」


「行くぜ、榊」




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