『若恋』榊の恋【完】
一晩中、ひかるちゃんについていて気持ちは固まった。
冷静に冷静に考えて、今後のことを考えて龍神会を根絶やしにすることが、大神組、ひかるちゃんを守ることに繋がると考えた。
このままだとひかるちゃんもりおさんも狙われ続ける。
「若、」
ひかるちゃんが寝入り静かに処置室を出ると、夜明けの空を見上げながら若が立っていた。
その横顔には感情はない。
「おまえが行こうとするのを俺には止める権利はない」
ガラスには若の鋭い瞳だけが光っていた。
「………」
「俺も行く」
どこに行こうとしていたのか若は何も言わなくても気づいている。
「おまえをひとりで行かせるつもりもない。俺も行く」
振り向いた若がポケットから取り出した手を伸べた。
「俺を頼れ」
「若…」
「おまえが動くのを仁もみんなも待ってる」