『若恋』榊の恋【完】
車十台程で連なって街外れにの鉄筋工場跡地に走る。
先に一也が入り待ち構えていた龍神会残党が一也の車に寄ってきた。
右手には鉄パイプ。
「素直に彼らを引き渡せばブラックエンジェルには手を出さない。匿うならば族には族のやり方で潰す」
一也に続き前広も車を降り、若と自分も続く。
若が声高く一声あげると取り囲みつつあった鉄パイプの群れがその輪を広げた。
「歯向かうなら潰す。やつらを引き渡すなら手は出さない」
ざわざわと鉄パイプの群れが揺れた。
「何してるやっちまえよ!」
二階奥の鉄筋の城から叫んだのは族には相応しくない30過ぎの男だ。
「構わねえから潰しちまえ!」
窓に胡座をかきながらくわえタバコで顎で指図する。
鉄パイプを持ってるのはほとんどが15、16歳の蒼いガキだ。
これから殺り合おうとする相手の恐ろしさをわかっていない。