『若恋』榊の恋【完】



男が持っていたナイフを取り上げそれで男の右手親指の爪を削いだ。



「うわあああっ!」



痛みの絶叫が鉄筋工場内に響いた。


右手を抱えて転げ回る無精髭の男の髪を掴み上げその苦痛に歪んだ頬を得物で撫でる。

赤い線が一筋走る。



「次は左手です」



右手を靴で踏みつけて、左手も床に引っ張った。


「止めてくれっ」

「まだ一本しか削いでません」



ザクッ



「うあああっ!」



床に踏みつけられて転がることもできない男は目から涙と鼻から鼻水を流して絶叫した。



「たのむ、やめ」

「まだ二本しか削いでません。次は足の爪にしましょう」



「止めろっ!」


震えて見ていた脇にいた雑魚がひとり叫んで、ナイフを腹に抱えたまま突っ込んできた。

軽くかわして手刀をその首に埋める。


ドサッ


手加減なしだ。




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